【書評】"オリエント急行の殺人" 正義の鉄槌

おすすめ度(☆五つ中) ☆☆☆☆☆

今回読んだ本は早川書房出版の″オリエント急行の殺人“のです。もともとミステリー小説はそんなに読んだことがなかったのですが、Amazonkindleストアでアガサ・クリスティーのセールがやっていたので購入してみました。アガサ・クリスティーの作品の中でも有名で、映画化もされているために内容を知っている方も多いと思います。私は事前知識など全くなく読み始めましたが、結論から言うと非常に楽しむことが出来ました。仕事の通勤や移動時間中に読んでいたのですが、1週間もかからずに読み切ってしましました。

 

あらすじ

冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……

オリエント急行の殺人 (クリスティー文庫) | アガサ・クリスティー, 山本 やよい, 山本 やよい | 英米の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

Amazonより引用

 

見どころ

ミステリーですから当然といえば当然なのですが、いったい誰が犯人なのかというドキドキ感は素晴らしいものでした。単独犯なのか複数犯なのか、内部犯なのか外部犯なのか。また、作品内で何度も触れられる過去の誘拐殺人事件が今回の事件にどう関係してくるのかという点にも注目が必要です。

  

今作の謎

オリエント急行に乗り合わせた容疑者14人全員にアリバイがありました。誰かが誰かのアリバイを証言していたのです。殺人現場に残っていた手がかりも、決定的な証拠にはなりませんでした。確実に分かっていることは、被害者がある女児(デイジー・アームストロング)の誘拐殺人事件の犯人(莫大な保釈金で釈放された)であることと、犯人の体には複数人から刺されたとしか思えない傷があったことでした。 

 

 

以下ネタバレ

 

 

 

犯人

今作の犯人はなんと容疑者全員でした。正確に言えば一人は犯行に加わっていませんが、関係者であることには違いないです。今回殺人事件が起こったオリエント急行

車両に乗っていた乗客と車掌の全員が、デイジー・アームストロング誘拐殺人事件の関係者という衝撃の事実です。そして犯人に睡眠薬を飲ませ、全員が一度ずつ犯人を刺したというのが真実でした。ポアロはこの謎を解き明かしましたが、結局外部犯仕業ということにして、真相を闇の中に葬りました。

 

リンドバーグ事件

作中に出てきた、誘拐殺人事件は実話が基となっています。その事件というのがリンドバーグ(愛児誘拐)事件です。リンドバーグ事件の犯人は結局死刑となったのですが、冤罪説も出ています。1932年の事件なので、今となっては真相は分かりません。万が一冤罪だったとしたら、本当に気の毒なことです。本作のカセッティは間違いなく誘拐殺人事件の犯人なので、この結末で良かったと思います。

ja.wikipedia.org

 

感想

そんな結末ありか、、というのが正直に思った感想でした。それと私だけかもしれませんが、登場人物の名前を覚えるのに苦労しました、、想像力が足りてないからでしょうか。真相を公表しなかったこの結末には賛否があるらしいですが、私としては極悪人に正義の鉄槌を下すことのできた、納得のいく結末でした。ちなみに、もしポアロが真実を公表していたとしたらどうなっていたのでしょうか。12人全員に殺人罪の共同正犯が成立して、全員に殺人罪が適用されたのでしょうか。なんにせよ、罪に問われたとしても、全員後悔などなかったでしょうね。

 

まとめ

今までミステリー小説は食わず嫌いしていましたが、しばらくアガサ・クリスティーにはまりそうです。次は‘’オリエント急行の殺人‘’と同じくらい名作の‘’そして誰もいなくなった‘’を読もうと思います。それではまた。